弁護士コラム

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2017.06.16更新

共謀罪の話題に紛れてしまった感はあるけれど,6月13日に児童福祉法と児童虐待防止法の改正法が成立。保護者指導と一時保護に司法(家裁)が関与することになります。

10項に及ぶ附帯決議にも注目。特別養子縁組をはじめ,大きな制度改正が続きそうです。

(1)家裁の体制強化
(2)障害のある子どもへの支援の強化
   性的マイノリティーの入所者への適切な対応
(3)一時保護所の改善
(4)医療との連携
(5)特別養子縁組の利用拡大
(6)妊婦への支援強化
(7)再統合の体制強化
(8)面前DVの適切な取扱い
(9)児童心理治療施設の整備
(10)婦人保護施設,NPOとの連携強化

http://www.sangiin.go.jp/japanese/gianjoho/ketsugi/current/f069_061301.pdf

あびこ

投稿者: 安原・松村・安孫子法律事務所

2017.03.29更新

気になる審判例があったので,備忘も兼ねてご紹介します。

1 軽度精神発達障害等のある未成年者が,特別支援学校に進学するに当たり,療育手帳の取得等を行わなければならないにもかかわらず,親権者がこれに応じないために,親権停止を求めた本案に関し,緊急性を要するとして申し立てられた審判前の保全処分事件について,保全の必要性を認め,親権者の未成年者に対する親権者としての職務の執行を停止し,その停止期間中の職務代行者を選任した事例(千葉家裁館山支部・H28.3.17審判)

2 特別支援学校への進学手続完了後,本案について,親権の行使が不適切であることにより未成年者の利益を害するとして親権の停止を認めた事例(千葉家裁館山支部・H28.3.31審判)

http://www.hanta.co.jp/books/6695/

判タの解説は,義務教育以外の教育についても,親権者は憲法26条1項,教育基本法4条1項の趣旨に沿って子に教育を受けさせる必要があり,義務があるとの見解を前提に,親権者が高校受験を認めない場合や特別支援学校への通学を認めない場合の親権停止制度の利用が想定されている,と指摘しています。

児童養護施設の施設長は,児童福祉法47条3項に基づいて,「監護,教育及び懲戒に関し,その児童等の福祉のため必要な措置をとることができる」とされていますが,特別支援学校に入学させるかどうかは,この「必要な措置」には含まれず,親権者に決定権があると考えられています。しかし現場では,日ごろ子どもの様子を見ていない親権者が子どもの障害を受容できず,特別支援学校への進学を拒むケースがしばしば見られると言われます。

ふたつの審判は,こうしたケースについて,義務教育とされない高等部であっても親権停止の審判を得て特別支援学校に入学する可能性を開いたという点で,また入学時期が迫っている場合でも,審判前の保全処分で職務代行者を選任してもらい,時機に遅れず入学する先例を作ったという点で,たいへん意義深いと感じています。

Viva! 千葉児相!

あびこ

投稿者: 安原・松村・安孫子法律事務所

2015.11.17更新

kokoline

少し前,子どもとメディアに関する調査研究を行うNPO法人「子どもとメディア」さんの定期誌にエッセイを掲載していただきました。

http://komedia.main.jp

エッセイのリクエストをいただいたのは初めてだったので,何を書こうかと悩みましたが,自分の中で「メディア」と聞いて思いつく話がこれしかなかったので,こんな感じで書いてみました。

よければご一読ください。

あびこ

[ quote ]

午前1時。早くも本日1通目のメールが届く。送り主は今年で20歳になるユイ(仮名)だ。

「マジヤバイでんきとまる」

ユイは精神的に不安定な母親の下で育った。父親が誰なのかは母親も知らない。母親の入院や失踪のたびに児童相談所に保護され,母親が戻ってくれば自分も家に帰る。しかし帰ったところでごはんが出てくるわけでもない。覚えているのはいつも見知らぬ男が出入りしていたことくらいだ。

そんな生活の末,彼女は15歳で家を出た。しばらくは水商売を続けていたものの,トークに自信が持てず,今はワリキリ(個人売春)が唯一の収入源。「ピンハネがない。好きな時に働ける。コミュ力がいらない。」それが魅力だという。

さて,人は彼女をどう見るだろうか。母親をだらしないと責めるだろうか。ネグレクトが分かっていながら「家庭復帰」を続けた児童相談所を批判するだろうか。夜の世界に飛び込んだことを自業自得と切り捨てるだろうか。出会い系サイトの規制を叫ぶだろうか。

質問を変えよう。では,あなたには何ができるだろうか。ワリキリをやめさせるために,いかに危ないかを切々と語りかけるだろうか。それとも叱りつけるだろうか。他の仕事を紹介するだろうか。

そもそもこの社会は,彼女に今より魅力的な生き方を提案できるだろうか。

翻って,私はユイに何をしているのだろうか。実をいうと,私は彼女に何もしていない。正確にいえば,私は彼女に何をしてやることもできない。電気が止まっても,私が肩代りできるわけではない。ヒーローのようにピンチから救い出せるわけでもない。恋人として支え慈しむことも,父親として受け止め愛することも,私にはできない。

でも私は,彼女とつながっている。これも正確にいえば,私は彼女とつながることしかできない。私は彼女に,事あるごとに電話をかける。メールを送る。事がなくてもLINEでメッセージを送る。そんな無数のコミュニケーションから,私は彼女の「いま」を読み取る。SOSを拾う。

つながってさえいれば,少しは早く電気を復旧できるかもしれない。いい病院に連れて行けるかもしれない。せめて今日だけでも,温かい気持ちで眠ってもらえるかもしれない。いのちを守れるかもしれない。

つながっていなければ,彼女はすべてを失うかもしれない。

私はこうやって,若者たちとつながっている。私と彼らをつないでいるのは,このケータイが発信する微かな電波だけだ。

*文中のケースは,個人が特定されないように,大幅に変更を加えています。

[ unquote ]

投稿者: 安原・松村・安孫子法律事務所

2015.10.28更新

11月11日(水)午前10時から午後8時まで,全国各地の弁護士会で「全国一斉無戸籍ホットライン」が実施されます。

法務省の調査では,戸籍がないまま暮らしている人たちは全国に665人(2015年9月10日現在)。数を調査すること自体が難しいので,この人数はごく一部にすぎないと考えられます。

戸籍がないわけですから,生活していくうえで様々な不利益にさらされます。法律的な側面から,この問題に取り組もうというのが今回の企画です。

戸籍がないことで最も大きな不利益を受けるのは子どもたちです。どの弁護士会でも,子どもの権利委員会に所属する弁護士を中心に相談をお受けすることになっています。私も相談員のひとりとして,電話をお受けする予定です。

http://www.nichibenren.or.jp/event/year/2015/151111.html

なお,福岡では,11月11日以降も,毎週土曜日に開設している「子どもの人権110番」で,引き続き無戸籍問題に関する相談をお受けすることになっています。

【福岡県弁護士会・子どもの人権110番】

092-752-1331

毎週土曜日 12:30 - 15:30

http://www.fben.jp/whats/kodomo110.htm

あびこ

投稿者: 安原・松村・安孫子法律事務所

2015.10.20更新

6月26日の西日本新聞朝刊に掲載していただいた記事。ウェブ版がリンク切れになってしまったので,こちらに本文を掲載させていただきます(筆が入る前の原稿です)。

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たとえばあなたの目の前に,顔を腫らした若い女性が現れたとしよう。聞けば18歳の高校3年生で,小さいころからずっと虐待を受けてきたと言う。さて,あなたはどう動くだろうか。

子どもが虐待を受けていると聞くと,まず思い浮かぶのは児童相談所(児相)だ。しかし児相は彼女を保護できない。児童福祉法が保護の対象を18歳未満の子どもに限っているからだ。

18歳なら家を出て働くこともできるじゃないかと思う人もいるかもしれない。しかしそうなれば,高校卒業は極めて難しくなる。友だちも失うだろう。そんな選択を迫るのはあまりにも酷だ。

仮に彼女が働くことにしたとしても,生活していくのは容易ではない。虐待を受けてきた子どもの多くは,規則正しい生活を身につけていない。人を信頼することも苦手で,職場内でうまくコミュニケーションをとることができない。フルタイムで働き続けられる子どもはわずかで,多くは先行きの見えない非正規雇用を続けることになる。危険な労働や,性産業に取り込まれる子どもも珍しくない。

虐待を受けた子どもたちは,こうして社会から排除される。その社会を作っているのは他でもない,私たちだ。

では,どうすればいいのか。

答えはシンプルだ。この社会が,子どもたちにとって魅力的で,居心地のいい存在になればいい。安全と安心が保障された多様な居場所と,生活を支える豊富な人的・物的資源,そして居場所や資源と子どもたちとをつなぐ仕組みがあれば,たくさんの子どもたちが輝きを取り戻してくれるはずだ。そだちの樹はこうした理念を掲げて,10代後半の子どもたちを保護する子どもシェルター「ここ」を2012年に開設し(現在は休止中),今年4月には,居場所や資源と子どもたちとのつなぎ役を担うため,新たに相談窓口「ここライン」(http://sodachinoki.org/kokoline)を開設した。

自分には荷が重いと感じるかもしれないが,決してそんなことはない。いつも自分を気にかけてくれるバイト先の先輩,すれ違うたびに「元気?」と声をかけてくれる近所のおばちゃん,何を話しても優しくうなずいてくれる中学の友だち,そんな誰にでも可能性のある身近な人が,子どもたちを闇の中から引き上げてくれることもある。近くに気になる子どもはいないだろうか。まずはその子の背景に,目を向けてみてほしい。

すべての子どもたちがきらめく未来へ。さあ,あなたはどう動くだろうか。

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あびこ

投稿者: 安原・松村・安孫子法律事務所

2015.10.13更新

三連休でしたが、私安原は土日一泊二日で西東京市で開催された

「地方自治と子ども施策」全国自治体シンポジウムに参加してきました。

全体テーマは「連携と協働による子ども支援・子育て支援」

サブタイトルとして「子どもにやさしいまちづくり」

基調講演やパネルディスカッションを通じて感じたことは

「子どもにやさしいまちは、すべての人にやさしいまち」

社会全体で将来を担うべき子どもたちをどうやって支援していくのか

いろいろ考えさせられました。

また、各自治体において子どもの相談・救済に関わっておられる

方々の意識の高さに私がエンパワメントされました。

 

 

 

 

 

投稿者: 安原・松村・安孫子法律事務所

2015.09.25更新

今年の4月9日に出た最高裁判例をご紹介

簡単にまとめると

「責任を弁識する能力のない未成年者がサッカーボールを蹴って

他人に損害を加えた場合において、その親権者が民法714条1項

の監督義務者としての義務を怠らなかったとされた」

事案は『当時11歳の子供が放課後、学校の校庭でサッカーのフリーキック

の練習をしていたところ、ゴールに向かって蹴ったボールが校庭から道路上に

転がり出て、これを避けようとした当時85歳の高齢者が転倒して負傷し、

その後死亡したというもの』

原審の大阪高裁は親の監督義務違反を認定して、亡くなった方の相続人の請求を

一部認容しました。

しかし、最高裁は、714条1項但書前段による免責を認めて、親の監督義務違反は

ないとして、相続人の請求を棄却しました。

この中で、最高裁は責任能力のない未成年者の親権者の直接的な監視下にない

子の行動について「人身に危険が及ばないよう注意して行動するよう日頃から

指導監督する義務がある」としつつ、本件事例で「校庭でのフリーキックの通常

人身に危険が及ぶような行為ではない」として子どもの当該行為から人身に危険が

及ぶとの予見可能性はないと判断しています。

事例判例ではありますが、親御さんの責任の範囲ということでは参考になりますので

簡単ですがご紹介いたします。

 

安原でした。

投稿者: 安原・松村・安孫子法律事務所

2015.09.02更新

ふくおかNPOセンターが新たに発行することになったフリーペーパー「polans」の創刊号にインタビュー記事を掲載していただきました。

http://www.npo-an.com/event/archives/52

福岡市内の書店やカフェに置かれるようです。目に止まったら,ぜひお手に取ってご覧ください。

あびこ

【配布先】

・ブックスキューブリックけやき通り店(中央区赤坂)
・ブックスキューブリック箱崎店(東区箱崎)
・珈琲美美(中央区赤坂)
・カフェ・ブラジレイロ(博多区店屋町)
・REC COFFEE 薬院駅前店(中央区白金)

投稿者: 安原・松村・安孫子法律事務所

2015.07.28更新

6月26日付けの西日本新聞朝刊に,安孫子健輔が寄稿した記事が掲載されています。

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/opinion_view/article/178078

投稿者: 安原・松村・安孫子法律事務所

2015.05.09更新

提言型ニュースサイト「BLOGOS」に,子ども虐待を扱った気になる記事を見つけたので,取り上げてみます。

http://blogos.com/article/111559/

記事の主題は子ども虐待を引き起こす「大人のオトコ」について,哲学好きな筆者がその原因を考察するというもの。筆者の言い分が哲学的に正しいのかどうかは何とも言えませんが,私が気になったのは,筆者が議論の出発点としていた次の記述です。

[ quote ]

児童虐待事件の加害者の75%は「男親」らしい。これは実父(40%)と継父・愛人(35%)に内訳される。

児童虐待,過去最多の476件 加害者の約4割が「実父」(アメーバニュース, March 8, 2013)

実母は20%程度で,加害者別にみると少数派だ。が,虐待死に至らせた親のトップは母親になる。

児童虐待,加害者の64%実の親 12年摘発過去最多(日本経済新聞, March 7, 2013)

全体的には虐待は「大人のオトコ」の犯罪ではあるが,少数だが殺人にまで至る事件(21件/28件)は大人のオンナが引き起こしている。

だから児童虐待を考えるとき,まずは1.「なぜ大人のオトコが引き起こすのか」という点を考える必要がある。その次に,2.「凶悪ケースではなぜ大人のオンナが多いのか」ということになる。

2.は,オンナの場合はDVの加害者として自らのストレスがパートナーに向かうことはないので(むしろDVの被害者),日常のストレスがパートナーではなく,身体的に自分より弱い子どもに向かう,という点で説明される場合もあるようだ。

凶悪事件はオンナが主原因だとしても(僕はこの裏には,「オンナへの操作的関わり」等で,何らかの意味でオトコが絡んでいると推察するが),数的には大人のオトコが圧倒的に多いことから,児童虐待とはまずは大人のオトコが加害者である,と僕は位置づけている。

[ unquote ]

ここで引用した記述は,実はまったくの誤りです。

このブログで引用されているデータはいずれも警察庁の統計に基づいていますが,これは警察が「事件」として認知した件数,言い換えれば「警察沙汰」になった子ども虐待の件数で,現実に起こっている子ども虐待の件数とイコールではありません。より広く子ども虐待のケースを扱っている児童相談所の統計によると,全国の児童相談所が2012年度に対応した子ども虐待相談の件数は66,701件に達していて,警察庁が同じ年に「事件」として認知した472件というのは,氷山の一角にも満たないことが分かります。つまり,このブログが依拠しているデータは,警察沙汰になるような深刻なケースだけを扱っていて,子ども虐待の実情を正確に表しているわけではありません(ちなみに,アメーバニュースが扱っているデータを前提としても,「男親」の割合は75%にはなりません。)。

では,実際は誰が子ども虐待を引き起こしているのかというと,先ほど取り上げた児童相談所の統計(2012年度)によると,虐待者の内訳は実母が57.31%と圧倒的に多く,他方,実父は28.95%(実父以外の父を含めても35.16%)にとどまります。もちろん,児童相談所がすべての子ども虐待を把握しているわけではありませんが,警察庁の統計よりも実態を正確に反映していることは疑いありません。

http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001115458

「凶悪事件はオンナが主原因」という表現も,確かに,過去10年ほどの間に発生した子ども虐待による死亡事例546件のうち,実母が虐待者となっているケースは55.68%(実母が実父などとともに加害者となっているケースは67.40%)と多いのですが,警察庁の統計が表しているように,警察沙汰になるケースを全体として見ると実父が38.8%を占めていて,何をもって「凶悪」とするのかによって,評価は違ってきます。

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000057947.html

子ども虐待は,犯罪や非行と同じく,誤解や偏見の多い社会問題。正しい対策をとるには,正しいエビデンスが必要ですね。

あびこ

投稿者: 安原・松村・安孫子法律事務所

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